緩急をつける。

2013.02.26
江ノ島からの風景

イージングというものをご存知だろうか。
「イージングを制するものは世界を制す」
とさえ言われたイージングである。

動画の制作をする場合に基本となる考え方で、
分かりやすくいえば「動きに緩急をつける」という意味だ。

例えばリンゴを上に投げた時、その様子をよく観察してみて欲しい。

手から離れたリンゴが、上へ向かい、ある地点から落下を始める。
その時、よく観察してみると、

①手から離れたリンゴは徐々に速度を落としていく。(速い→遅い)
②ある地点でリンゴの速度は0(上に向かう力と重力の均衡地点)となり地面へと落下を始める。(停止)
③リンゴは加速しながら地面へ向かっていく。(遅い→速い)

という動きをしている。
分かりやすく言うと、上に向かうときは「ふわーん」で下に落ちるときは「しゅーー」の動きだ。
フワーンシューの法則と覚えるといいだろう。

こういった「動きに緩急をつける」ことで、下に重力を感じることができる。
もしもリンゴが一定の速度で上下を往復していたら、単に空中に浮いたリンゴが
スーっと平行移動しているようにしか見えないだろう。

現実世界では、程度の差はあれ緩急のない動きなど存在しない。
停止している新幹線が、次の瞬間にいきなり300km/hの速度を出すのが不可能なように。

そんな動きは不自然すぎるなぁ。
いきなり300km/hで走る新幹線があったとして、
「おっ動いた」と思ったら、まばたきの間に数十メートル先にいるのだから。

「緩急をつける」

話が横道にそれたが、イージングを拡大解釈して見ると、
動画の以外でも様々なクリエイティブの中で、「緩急をつける」ことが
制作物に躍動感を与える重要な要素になっているのが分かる。

ただ、その「緩急をつける」というルールに縛られ過ぎても、制作物が似たり寄ったりなものになるばかり。
そこはあえて、ちょっとぐらいルールに逆らうことで不思議な違和感と心地よさの両立をしていく、
というぐらいの気持ちでいたい。・・・はみ出し者でかまわない精神である。

「クリエイティブに緩急をつける」

デザイナーも常に制作物の中に様々な緩急をつけている。
動きだけではなく、タイトル、見出し、本文。デザイン全体のメリハリ。
止まっていても躍動感を感じる絵や写真。
様々なものへの観察や、それを応用した多種多様な手法、一瞬のひらめきで思いついたアイディアで
クリエイティブに緩急をつけ、躍動感を表現している。

動きやデザインを作る際、緩急をどうつけて躍動感やメリハリを出すか、
ということがとても重要になってくる。
受け手が心地よいと感じるか、違和感を感じるか。

デザインするということは受け手の想像力を引き出していくことなのかもしれない。

たまにはこういった表現の基本の部分にたちかえって、これまで制作してきたものや、
今現在制作しているものを見直すのも良いのではないかと思う。

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